木津の和風モダンの住まい・京都

建築概要

木の香りに包まれた、住み心地のよい家
京都と奈良の境に位置する新興住宅街・木津。モダンな住宅が建ち並ぶこの街の中でひと際目をひくのは、真っ白の外壁が美しいI邸です。たたずまいは一見洋風ですが、玄関には「格子戸」が使われ、和の趣。その引き戸をガラリと開けると、通り土間のような風情のある空間が広がります。土間には、那智石(碁石やすずりの原材料として使用される黒色の高級粘板岩)が両端にちりばめられ、さながら日本庭園の通路を思わせる凛とした雰囲気。ヒノキのやさしい香りが広がり、清潔感あふれる和空間となっています。建て主でおられるI様は、ご自身が思い描いたイメージを図面、さらには、3Dまで作ってしまうほど、住まいづくりにたいへんご熱心な方でした。I様は、お仕事柄、新しい住宅を建てる現場に遭遇する機会が多かったのだとか。「正直、建売住宅には不安を感じていました」とはI様のお言葉です。こうした経緯があって、建築家との住まいづくりをスタートされたI様。設計コンペで3人の建築家の中から選ばれたのは、ご自身の感性とぴったり合う小河原一郎氏でした。

特徴

建築家の心配りが生きる充実の和空間
住まいの間取りや動線はもちろんのこと、素材や細部のデザインにも、小河原氏のたくみな設計プランが光ります。内壁には、コストバランスを考慮し、構造材にはアメリカ松を、天井や壁などの目に触れる部分にはヒノキが使用されました。中でも、小河原氏が特にこだわったのが床材です。「2人のお子様はまだ小さく、下のお子様はまだ生まれたばかりでした。そこで、はいはいをしても安心な素材をということで、ヒノキの無垢材をセレクトしました」。赤ちゃんにやさしいということは、もちろん大人にもやさしい素材。「肌に直接触れて気持ちがいいので、裸足の生活を楽しんでいますね」と、I様もたいへんお気に入りのご様子です。1階には、床材にヒノキを使用したキッチンダイニングのほか、和室と客間が設けられました。障子越しに木の影が映るよう、庭に木を植えるという粋な演出も小河原氏のアイデア。さらには、新聞をわざわざ外に取りにいかなくて済むよう、客間の壁にポストが取り付けられました。こうした細やかな心配りも、建築家の設計プランならではの魅力です。また、客間にも、小河原氏のアイデアと工夫が演出されています。天井の照明は、裸電球に障子をはめ込んで全体の雰囲気を統一。また、和紙のもみ紙(揉んでしわを作った紙)のふすま、からし色の地袋(じぶくろ…床面に接してつくられる小さな戸棚)、利休鼠(りきゅうねずみ…緑色を帯びたねずみ色)の壁紙により、和のおもむきあふれるモダンな空間となりました。
念願がかなった、3畳一間の「男の城」
I様たってのご要望だった「自分だけの部屋」は、屋上に設けられました。ペアガラス(2枚の板ガラスの間に、一定間隔の空気層をおいた複層ガラス)で風が通るように設計された、3畳一間の「男の城」です。「子どもたちも入れない、完全に独立した空間が欲しかったのです」とI様。2階からはしごをつたって登っていくという、ツリーハウスのような設計となっています。ここでI様は、パソコンや模型、釣り道具のお手入れと、ご趣味を存分に楽しまれるのだとか。自分だけの城で過ごす時間は、気持ちが安らぐ格別なひと時となるでしょう。こうして、自然素材と遊び心に包まれた、住み心地のよい住宅が完成しました。I様の思い描かれた理想をみごと形にした、建築家ならではのセンスが光る美しいお住まいです。この住宅が建ってからしばらくの後、お住まいにはある異変が…。門がなくオープンなためなのか、木の温もりにひかれてなのか、I邸の庭が近所の子どもたちの集いの場となっていたのです。「知らぬ間に、たくさんの子どもが遊びにくるようになっていて」と微笑まれる奥様。子どもたちにも、この住宅の居心地の良さが伝わったのかもしれません。
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