建築概要
工法 | 木造 地上2階建て |
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敷地面積 | 86.3m² (約26.0坪) |
建築面積 | 49.7m² (約15.0坪) |
延床面積 | 99.0m² (約29.0坪) |
施工 | 株式会社アイディーエム |
特徴
ローコストで愛車とともに住まうガレージのある家を
S氏は家を建てようと思いました。――そんな、物語のような一節から始まる一冊の厚いノートがあります。
ほのぼのと描かれたイラストと、優しい手書きの文字でつづられた、暖かな雰囲気が漂うその一冊は、設計を担当した建築家の松永基氏が、大のクルマ好きでいらっしゃる建て主のS様のためにつくった提案書。S様の夢の住まいへの「ロードマップ」でした。
「僕の資金が少ないなか、松永さんも、プロデュース会社も、工務店も、皆さん陰で頑張ってくださっていたことは感じていますし、感謝しています。本当に、コストをはるかに超えるバリューを提供してもらえました」とお住まいを見渡しながら話されるS様。
「クルマの隣で寝ることもいとわないから、うんと安くつくってほしい。というのが、最優先の課題。それに、料理も趣味だからキッチン。さらに風呂好きだからバスルームも大事にしたいというぐらいでしたね、僕の要望は。あ、それと、寒がりだから寒さ対策も…」と笑われます。
感性の響き合うふたりの出逢いが生んだ夢の住まい
一階にはガレージと、明るくスタイリッシュなバスルーム。二階はキッチン、リビング、寝室も兼ねた大きなワンルームに、両サイドのロフトが広がり感を演出します。ローコストとはいえ、安っぽさは微塵も感じられません。
「ガレージも出し入れしやすいし、キッチンも使い勝手がいい。松永さんの設計は、スタイルだけじゃなくて、使う人の立場で考えられているから」とS様。
S様と同じく、クルマと料理が趣味という松永氏の設計は、S様の感性と見事に響き合うものでした。ふたつの趣味と価値観を共有するふたりの、息の合ったコラボレーションによる作品、S邸。ここに、S様が思い描いていた夢の住まいが完成しました。
けれども、いよいよ引越しというとき、S様は落ち込んでしまったといいます。「あんなに楽しかった家づくりがこれで終わりなんだと思うと、寂しくて…。」
「毎月欠かさず何冊も買っていた自動車雑誌も、気づいたら何か月もの間、ほとんど買わなくなっていました。だって、家づくりのほうが面白かったんだから。建てている間、皆で同じ夢と時間を共有できる、そのプロセスがね」と、目を輝かせます。