都市の狭小地で叶えた、旧車ミニと暮らす3世帯ガレージハウス

大阪市都島区の角地に佇む、約22.5坪という限られた敷地。ここに、旧車の「ミニ」1台を美しく格納するビルトインガレージを備えた、延床面積137㎡の3世帯ガレージハウス。

2面が道路に面しているものの、「間口が広く奥行きが浅い」という変形地。同じ予算を出せば、郊外の広大な土地でゆとりあるガレージライフを送る選択肢もありました。しかし建築主が選んだのは、都心ならではの利便性、そして何よりも「家族が愛着を持つこの街で暮らす」ということでした。

土地の広さは変えられなくても、設計の力で可能性はいくらでも広げられる——。 求められたのは、限られた敷地の中で間取り・採光・通風を極限まで効率化し、各世帯のプライバシーを確保しながらも、互いの存在を感じ合える「同居の安心感」でした。

そんな要望に設計で応えたのは建築家・矢部直輝さんが、最も試行錯誤を重ねたのが「ガレージとエントランスの絶妙な配置」です。

緻密に計算されたプランにより、1階にはビルトインガレージと、独立した1世帯分の住空間を配置。約12畳のLDK、5.3畳の個室に加え、専用の玄関、洗面、洗濯スペース、浴室、トイレをすべてワンフロアに集約し、他の世帯と設備を共有することなく完結する生活動線を実現しています。

一方、2階・3階の広範な空間には、ガレージ側に設けたもう一つの玄関からアプローチします。こちらはLDKやテラス、各水回りに加え、3つの個室を配した2世帯分の居住エリア。2階LDKの一部に設けた大胆な吹き抜けが、3階にいる家族の気配を優しく階下へと伝えます。さらに、1階と2階のLDKも階段を通じて緩やかに繋がっており、フロアは分かれていても、家全体に家族の温かな気配が循環する設計となっています。

限られた敷地面積と予算という制約をクリアしながら、憧れのビルトインガレージと2箇所の独立した水回りを備え、137㎡のゆとりある延床面積を確保。

白紙の状態から要望に応えながら建物デザイン、間取り、窓や扉の位置を設計する建築家の圧倒的なプランニング力が随所に光る、都市型・狭小多世帯ガレージハウスの好例です。

ガレージハウス 建築概要

構造・規模木造・地上3階建て
敷地面積74.5m² (約22.5坪)
建築面積60.4m² (約18.3坪)
延床面積137.0m² (約41.4坪)
ガレージ面積18.3m² (約5.5坪)
設計・施工山本安工務店
撮影平野和司
2方向の道路に面しており、すぐ隣まで建物が迫る住宅密集地
外観夜景。右側から1階、2階、3階と少しずつ建物が高くなっているのが分かる。左奥に玄関がある
ガレージ内。今は旧車のミニだが、将来の買い替えも見越し、少し広さに余裕を持たせてある
階段からガレージと玄関の見下ろし
2階LDK。三角形のバルコニーが道路側
2階LDKを見る。一部が吹き抜けになっている
3階の部屋にある内窓からLDKが見下ろせる。階段を登らなくても声をかければ伝わる
LDK奥のサニタリールームからのLDK方向を見る
親世帯のLDKを見る
2階壁に囲まれたバルコニー。一部に窓があり、階段部分に光が届く

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