荒削りなイメージの生活空間で眺望を楽しみながらくつろぎ、ガレージではクラシックカーを心ゆくまで、気兼ねなくいじれる青葉台の ガレージハウス 2・西宮
所在地/兵庫県西宮市
敷地面積/320.5m2(約97.0坪)
延床面積/114.3m2(約34.6坪)
ガレージ/40.6m2(約12.3坪) ビルトイン台数/2台
愛車/1974年式 MGミジェット、1970年式 MG 1300
他の特徴/崖地、中庭のある家、眺望を楽しむ家
イメージしたのは「工場や倉庫に住むような家」だった。抜群の景観を堪能すべく、傾斜地への ガレージハウス 建築を決意したKさん。それを実現したのは、施主の趣味性を見事にかたちとした建築家と、ザウスによる、全方位からの的確なサポートだった。
グレーがかったモスグリーンの外壁、色調の異なるタイルが張られたエントランス、ビルトインガレージに収まるのは2台のヴィンテージカー。 ガレージハウス の竣工から1年ほどしか経過していないにも関わらず、K邸からは、長くこの地で歴史を刻んできたような風格が感じられる。
Kさんは若かりし頃からクルマを愛し、ミニ、ビートル、パンダといった、シンプルで味のあるクルマを選んで所有してきた。やがて現在の愛車でもあるMGミジェットを手に入れ、奥深いヴィンテージカーライフの世界に足を踏み入れるようになったのだという。
だが、カバーをかけてはいたものの、青空駐車場での保管が常であったKさん。雨や日差しからクルマを守りたい想いと、一方で消費税アップの時期とも重なっていたことから、念願のガレージハウスを実現すべく動き出した。
土地と共に、家づくりのパートナーも同時に探していたKさんの目に留まったのは、個性豊かなガレージハウスを多数プロデュースしてきた『ザウス』。
それまで訪ねた工務店とは明らかに異なる、現実的なアイデアやノウハウがあると感じたことから、自邸のプロデュースを任せることにしたのだという。
Kさんが出した要望は、「2台収容のガレージ」、「質素で味のある」「天井の高いリビング」の3点。「工場の2階に住んでいるような」というイメージを伝えられた建築家、田中いちろうさんは、空間はできるだけシンプルなものとし、その分各部の素材にこだわり、生活していく中でその質感を楽しめるようにとのプランを提案したという。
では、実際に見ていこう。Kさんの要望どおり、1階には2台分のビルトインガレージが設けられている。当初はエントラスおよび書斎からクルマが見えるプランも提案されたようだが、結果的にはそれぞれの独立性を追求し、ふたつの空間をピロティでつなぐことにより、建物としての一体感を演出している。
一方、2階に上がると、訪れた者は3.5mという高い天井のリビングに圧倒されることだろう。杉の足場板を敷き詰め、天井には木片をセメントで固めて成形した「木毛セメント板」、壁面は塗装仕上げの室内は、「ほぼ壁一面のガラス」と言っていいほどの大きな窓から入る陽光により、明るく優しい雰囲気に包まれている。それと同時に、隣家が一段下がっていることもあって、抜群の景観も堪能できる、何とも贅沢な空間だ。
「この窓から見える景色が一番のお気に入りなんです。日本らしい四季を感じられる家だと思います」、そう語るKさん。自然を味わい、趣味も満喫できるこのガレージハウスでは、まさにヴィンテージを味わうにふさわしい、豊かな時間が流れていくに違いない。