articlesみんな、どんな要望を出しているの?こだわりのガレージハウスの建て方

計算された"閉じ開き"、暮らすほどに実感できる細やかな工夫。
西岡本のガレージハウス・神戸

「とにかくやることが多い家づくりの諸々を、効率よく手配してくれるプロデューサーさんの存在は大きかったですね」
所在地/兵庫県
敷地面積/263.1m2(約79.6坪)
建築面積/119.7m2(約36.2坪)
延床面積/199.4m2(約60.3坪)
ガレージ/35.5m2(約11.5坪)
ビルトイン台数/2台
愛車/アルファロメオ・スパイダー、シトロエンC4ピカソ

外観から見える窓はほとんどなく、中の様子をうかがい知ることはできないT邸。
だが、リビングから見える景色は、まったく印象の異なるものだった。

雑誌 ガレージのある家 vol.36 掲載
photo / Kazushi HIRANO(平野和司)text / Shunsuke OOBUCHI(大渕俊輔)

取材に限らず、ここのところ「ワンルームのような家」に出会うことが増えたように感じる。だが、ただ空間をつなげただけで、結果としては煩雑な暮らしになってしまったという話も聞き、シンプルな空間づくりにはそれ相応の工夫が必要なのだと思う。ここでは、細部に渡る心遣いが見事に結実したT邸をご紹介しよう。

T邸のエントランスには2つのドアが備わっており、1つめを開けると、ガラス越しに愛車の存在を確認することができる。エントランスポーチを設けることで内と外をゆるやかにつなぎ、プライバシー保護と鑑賞性を両立させているわけだ。

マンション住まいののち、ガレージ付きの賃貸住宅で暮らしていたこともあるというTさん。「いつかは......」という想いは常にあったようで、インターネットでザウスの存在を知り、定期的に開催されている見学会にも参加している。それまでのモヤモヤとしていたイメージが形作られていく感覚だったというから、やはり実物に触れてみることは大切なのだ。

その後、お子さんが大きくなってきたこともあり、実現に向けて本格的に動き出したTさん。見学会で目にした矢部さんの家づくりに共感していたことからも、ザウス、矢部さんをパートナーに選んだのは自然な流れだったという。希望していた地域が古くからある住宅街で、出物が少ない地域ではあったものの、適した土地も見つけることができた。

「平日はもちろん、子どもがいるので休日もフルに動けるわけではありません。とにかくやることが多い家づくりの諸々を、効率よく手配してくれるプロデューサーさんの存在は大きかったですね」。Tさんは当時をそう振り返る。

吹き抜けとなっているエントランスポーチは中庭の役割も担っており、季節の移り変わりも感じることができる。植栽や敷石の組み合わせやクルマの色によっても、視覚的変化を楽しむことができそうだ。
エントランスポーチ、ガレージとリビングは大きなガラスで仕切られ、どの角度からもひと続きのような解放感を感じられる。独立した機能を持たせながらも、ワンルーム感が演出されているというわけだ。

さて、写真を見て印象に残るのはチャコールグレーの落ち着いた外観と、内装の木の温かみあふれるナチュラルな雰囲気のコントラストであろう。一見すると、窓が少なくクローズドな印象も受けるが、玄関ドアやガレージシャッターを開けた際のイメージの変化に注目したい。

ガレージシャッターを開けると、室内の大部分を見渡せるほどオープンな作りであることを実感できる。将来的には「週末だけのガレージカフェ」という密かな夢もお持ちのようだが、外観からはうかがい知れないギャップも"隠れ家"的で楽しいはずだ。
リビングからはショーケースに飾られたような愛車を眺めることができる。Tさんの希望によって実現された仕立てだが、納戸への直通ドアを設けるなど、奥様にとっても使いやすいガレージとなったようだ。

「北側が道路、南側からは神戸の街並が見える眺望を持つというロケーションでしたので、LDKを大好きなクルマと眺望のある心地よい庭で挟んでしまおう」とイメージしていた矢部さんの意図通り、プライバシーを保ちつつ、実際の暮らしの中で感じられる解放感を両立させていることが分かるだろう。

当初はオーソドックスな階段を想定していたそうだが、螺旋階段とし、吹き抜け空間からは柔らかい陽が降り注ぐ。リビングのアイコンとしても効果充分。
リビング奥側の窓を大きく開けるとこの解放感。さらに玄関ドアを開ければ「風通しのいい家にしたい」とのTさんの希望通りになる。広さではなく空間の使い方で心地よいスペースとされていることが分かるだろう。

マツダ・ロードスターやアルファロメオ・スパイダーなど、オープン2シーターを愛用してきたTさんだけに、もちろんガレージは必須だったわけだが、対して奥様は「ワンルームのような風通しの良いリビング」と「コンパクトな生活動線」にこだわって要望を出していったのだそうだ。

山手エリアに建てられていることもあり、2階の子ども部屋の一部は45cmほど床を高くし、展望を楽しむことができる。「この景色を見ると屋上に上がれるようにしておけばよかったと欲が出ますね(笑)」とはTさんのコメント。

確かにT邸を見ていくと、例えばクルマで買い物をしてガレージに停め、奥の扉から直接納戸にアクセスできるほか、キッチンやサニタリースペースにも自然な流れで通じており、不規則な人の流れによって煩雑な印象になりにくい環境となっている。

4人+1匹が暮らし、皆が自然とリビングに集まるT邸。「いつでも家族そろって」というTさんご夫妻の要望は、矢部さんのプランニングによって実現されたわけだが、将来的な生活のイメージが、うまく共有された結果とも言えるだろう。

「Tさんご一家が求める空間のイメージは、当初から明確でしたので、むやみに建物を広くするのではなく、快適な暮らしに直結する上質な仕上げに予算を残せるようコストバランスを図りました」。プロデュースを担当した原田さんはそう語る。

螺旋階段を上がった2階は子ども部屋。現在はひとつの空間となっているが、ふたりのお子さんが大きくなった時のことも考えて、中央部で間仕切れるよう配慮されている。

家づくりには、関わる人の数だけ想いやこだわりがあり、それらがバランスよく盛り込まれた時、初めて美しいまとまりを見せる。シンプルな構成の中に、施主、建築家、プロデューサーのこだわりがさりげなく随所に詰め込まれたT邸は、その好例と言えるだろう。

オープンカーを愛用してきたTさんにとっては、念願のガレージハウス。現在はお子さんが小さいのでガレージはシンプルな状態としているが、「いずれはミニカーや雑貨などを置き、もっと華やかな空間にしたいですね」とのこと。
owners check
ここがお気に入り

こだわった甲斐があって、ガレージからリビングへと続く動線と、キッチンからのガレージへの眺めが気に入っています。

ちょっと失敗

基本的には満足していますが、「ランドリールームがあれば」「屋上に上がれるようにしておけば」と欲が出てきますね。

これからの夢

植栽を増やすなど、緑を上手くアクセントとして活かした家にしたいです。「週末だけカフェに」なんていう夢も広がりますね。

読者へのアドバイス

短期間でも賃貸などで実際にガレージハウスに住んでみることをお勧めします。そしてその経験から得られた教訓や要望をきちんと伝えることも大切ですね。

From a Architect
矢部直輝さん

Tさんは住まいについて、当初よりシンプルかつ明確なイメージをお持ちでした。そこで、平屋に近い生活機能や動線を念頭に置き、それらを効率的にまとめたプランニングとしています。細かな点としては、エントランスポーチにプライバシーのある前庭を併設し、さらにダイニングの横には吹抜から南光が降り注ぐよう螺旋階段を設置しています。これは南北に広がる平面形状に通風や採光を隅々までいきわたらせる仕掛けです。住まいづくりは建築主さんの想いと共に、敷地の状況や周辺環境、法的制限、予算や家族の事など、様々な外的要因が関係します。Tさんとの家づくりがそうであったように、コミュニケーションの中から浮かび上がってくる、明るく快適な空間づくりをご一緒できればと思っています。

Planning Data
所在地 兵庫県
竣工 2015年9月
敷地面積 263.1m2(約79.6坪)
建築面積 119.7m2(約36.2坪)
ガレージ部面積 35.5m2(約11.5坪)
外装仕上げ ラスモルタルのうえジョリパットコテ押さえ+ラスモルタルのうえリシン吹付け
内装仕上げ クロス張り一部モザイクタイル、ナラ積層フローリング、パイン無垢フローリング
愛車 アルファロメオ・スパイダー、シトロエンC4ピカソ
設計 矢部直輝(イン・エクス デザイン)
施工 株式会社ウッドワン関西
プロデュース ザウス株式会社・ザウス大阪店

ガレージのある家 vol.36 掲載

発行年月日:2016年4月21日
出版社名:株式会社ネコ・パブリッシング

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