建物探訪

2016年01月29日

思いつきの旅②

岡山県津山市への思いつきの旅のつづきです。

津山文化センターで知り合った赤田さんと前日の晩に飲んだことはお話ししましたが、そのつづきを少し。

偶然にも共通項が多く、同じ年の生まれで、父同士も同じ年。赤田さんと私の父の名前が同じ(笑)

昔大阪の堺市に住んでおられ、私が一人暮らししていたマンションのすぐ近く。

そして二人とも高校生の頃にラグビー部だったこと。

出会うべくして出会ったという感じです。

翌日も私が行こうと思っていた『奈義町現代美術館』に休日にもかかわらず同行してくれました。

おかげさまで学芸員の方から詳しいお話しをたくさん聞かせて頂き、とても有意義な時間をすごさせてくれました。

奈義町現代美術館の設計は磯崎新。

ロサンゼルス現代美術館新館の他、世界をまたにかける建築家です。

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この美術館は3人の現代アーティストの作品のみが展示されていて、そのアーティストの選定も磯崎さんが行ったそうです。

どんな作品ができるかを決めてからその器である建築をつくっていくというプロセス。

いついっても同じ作品が見られると考えるか、いついっても同じ作品しかないととらえるか。

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宮脇愛子作。ゆらめくステンレスワイヤーが光の当たり方により表情が変わります。

外の水盤にも連続していて、内外の光の違いや天候の移り変わりでも違う見え方になります。

次は岡崎和郎作品。

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空間も含めて作品となっていて、床は土のタタキ天井は無垢板貼り。

壁はレンガタイルを貼ったうえにモルタルを塗っているのですが、これがいい感じでした。

タイルにモルタルを塗ってしまう・・・。もったいないと感じてしまいますが、今までに見たことがなかったので、新鮮な感じがしました。

このように現代アートを見ていると、時々建築にいかせそうな素材の使い方に出会うことがあります。

刺激にあふれた旅になりました。

2016年01月10日

新春建物探訪

やっと寒くなってきました。

これでも暖かめですけどね。

正月休みのとある朝、目覚めるとあまりに天気が良かったので、思い立って一人旅に(家族が実家に帰っていたので)でかけることにしました。

自宅からは遠いのですが、徳島へ行きました。

目指すは鳴門文化会館。設計は京都大学教授の増田友也。

以前から気になっていた建物だったのですが、とても良かったです。

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35年ほど前の作品ですが、打放しコンクリートの状態も良く堂々たる佇まいです。

増田友也はコンクリート打放しにこだわっていて作品のほとんどに採用しています。

庇やルーバー、曲面、梁など様々な形状のコンクリートを組み合わせ、独特な造形をつくり出しています。

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文化会館の向かいには、同じく増田友也設計の老人福祉センターが経っています。

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同一敷地内に建てられているので、お互いが魅力を引き立たせ合っているようです。

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一般的にはあまり知られていない増田友也ですが、丹下健三と同時代を生きた建築家で『東の丹下、西の増田』と言われていたほどの建築家で近年再注目されています。

新年早々、いいもの見させてもらいました!

2015年12月21日

2015年最後の建物探訪

今年も残すところあと10日になりました。

今年もたくさんの建物を見に行きました。我ながらよく行ったものです。

今年最後の建物探訪は岡山県と高知県。

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岡山大学内にあるカフェテラス。設計はSANAA。

細いスチール柱と薄いスチール屋根。軽やかな佇まいはこれぞSANAAという感じです。

次も岡山大学の別キャンパスにあるホール。

こちらもSANAAの設計。

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こちらは屋根伏せが特徴です。

最近のSANAAは屋根が面白い。

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大きな柱ではなく、たくさんの細い鉄骨でもたせています。

構造設計事務所の腕の見せどころですね。

つづきましては高知県へと。

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『高知県立坂本龍馬記念館』。設計は高橋晶子+高橋寛のワークステーション。

ご覧の通りの跳ね出しが特徴でガラス貼りの部分に建つと桂浜が一望できます。

さすが龍馬は人気があって、平日の午前中にもかかわらず観光客で賑わっていました。

そしてこの日のお目当ては内藤廣設計の『牧野富太郎記念館』。

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中庭を取り巻くように屋根がぐるりとまわっています。

この屋根をささえる構造が美しい。

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牧野富太郎は「日本植物学の父」とよばれている学者で、記念館も植物園のなかに建っています。

木を使った構造に定評のある内藤廣さんは設計者としてまさに適役です。

こちらにもたくさんの来客があり、作って終わりの箱もの行政ではないことが伺えます。

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こちらは国立競技場のザハ・ハディド案で有名になった『キールアーチ』。国立競技場では1本で数百億円かかるといわれやり玉にあがった構造です。

この規模でのキールアーチは構造的にも予算的にも適正なもののようです。

とても気持ちの良い空間でした。

来年もいろんなところでいろんな建物を見に行きたいものです。

2015年11月13日

フランク・ゲーリー展

先日東京出張に行ったついでに、『フランク・ゲーリー展』に行ってきました。

表参道のルイ・ヴィトンで行われています。

フランク・ゲーリーは世界でも有数のスター建築家。

もともと世界的な建築家だったのですが、スペインのグッゲンハイム美術館ビルバオで圧倒的な評価を得ました。

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うねるようなチタンの外壁が特徴で、スペインのマイナーな一地方であったビルバオが世界中から観光客が訪れる観光地になったそうです。

ゲーリーは会場となったルイ・ヴィトンの、『ルイ・ヴィトン財団美術館』を手掛けていて、今回の展覧会はその建物を紹介するものでした。

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美術館は大きな船の帆が建物を取り巻くようなイメージ。

この形にたどり着くため何十個もの模型やスケッチを用いてイメージに近づけていったとのこと。

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展覧会で印象的だったことは、現代のテクノロジーの粋を極めたゲーリーの建物をつくる職人さんたちを紹介する映像の上映。

3Dプリンターや最新のCG,コンピューター技術を駆使してできあがったゲーリーのイメージも職人さんがいなければできあがりません。

そういう職人さんへの尊敬の念が込められたその映像がこの展覧会の白眉であったように思います。

ああ、行きたいなビルバオ&パリ・・・。

2015年10月09日

長野の建築②

朝晩とめっきり涼しくなってきました。

お出かけするにはぴったりの季節ですね。

そんな時になんなのですが、夏に行った長野の建築巡りの続編を。

まずは内藤廣さんの『安曇野ちひろ美術館』。

絵本作家の岩崎ちひろさんの美術館。オープンしてから18年ですが、いまだに多数の入場者をほこる勝ち組の美術館。

長野の連峰群を背景に悠然と建っています。

ランドスケープも抜群で、子供たちが芝生を走り回っています。

こんなところが家の近くにあったら子どもたちはほんとうに楽しいだろうなと思います。

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内部も木をふんだんに取り込み、とても快適な空間。

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ペンダント照明も内藤デザイン。

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この中庭が効いています。

この日も多くの来場者で溢れかえっていました。

次は・・・

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日本浮世絵博物館。

設計は篠原一男さん。

建物はおいておいて、ランドスケープ計画とメインテナンスがあまりに杜撰で、ものさびしい雰囲気がしてました。

建築家は超一流ですが・・・。

これでは入場者も少ないでしょうね。『安曇野ちひろ美術館』とは対極の博物館でした。

そして最後は・・・。

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伊東豊雄さん設計のまつもと市民芸術館。

内部の光が細かくまぶされた開口から漏れてとてもキレイ。

内部の大階段も幻想的な空間。

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松本市には他にも美術館や博物館がたくさんあって、程よく都会で、本当に住みやすそうな街でした。

2015年09月19日

長野の建築①

またまた建築ネタを。

先日、遅めの夏休みを取り、長野県に行ってきました。

正確には、まわった建築は、愛知県、長野県、山梨県、静岡県で走行距離は800km超え。

仕事後、電車で名古屋に行き、そこからレンタカーで長野県飯田市のホテルへ。

到着は23時頃でそのまま就寝。

翌朝から建築巡りの始まりです。その中からいくつかをご紹介。

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飯田市美術博物館。設計は原広司。

JR京都駅や梅田スカイビル、札幌ドームの設計で有名です。

恐らくですが、この外観は曲線の所が雲で、上の三角が連なるところは長野の山の稜線をあらわしているのだと思います。

屋上から見ると屋根と山並みが重なるように見えましたので。

中はこんな感じ。

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神殿の中を歩くような・・・

丸柱のものもあれば、柱型になっているものもあり・・・。

なかなかに解釈が難しい・・・。

この建物はトップライトが効果的に使われていて、拡散された光が気持ち良いものでした。

ロケーションも良く、積極的に利用されているように思われました。

そして次の建築へ。

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SANAAの設計、小笠原資料館。

左手にある旧小笠原書院との対比が面白い。

資料館の展示スペースをほぼ持ち上げピロティとし、奥のスロープを上ったところに入り口があります。

チケットブースにいた管理人さんが書院の説明や歴史を説明してくれたのですが、なかなかに興味深いものでした。

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大雨の日はものすごい勢いで雨水が流れてくるそうです(笑)。

雪の日の早朝は凍って入口にたどり着くのが大変だそうです(笑)。

誰も気づかなかったのか・・・。

さて、気を取り直して・・・

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ガラスにシルクスクリーン印刷をしているのですが、部分的に抜いていて額縁のように旧書院や緑を眺められます。

この書院も展示の一部になっていますね。

このとき、時刻はまだ11時台。まだまだ序の口です。

続きはまた。

2015年09月14日

京都散策

つい先日、お施主様のローン契約立会いのため京都の烏丸に行ってきました。

その後、長岡京の現場で打合せだったのですが、時間があいてしまったので京都市内を1時間ほど散策しました。

さすがに京都だけあって少し歩けば興味深い建物にあたります。

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京都文化博物館。

東京駅の建築家、辰野金吾の設計です。この日はジャズコンサートが行われていました。

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この中でコンサートが行われていました。

元々この建物は日本銀行京都支店として使われていましたが、今はいろいろなイベントとして使われています。

ここから歩くこと5分くらいで・・・

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旧京都中央電話局であった、『新風館』。

設計は、もう解体されてしまった東京中央郵便局、大阪中央郵便局を設計した吉田鉄郎。

さすがに京都は古いものを残す伝統があるのか大リノベーションを行い、保存されました。

このリノベーションがまたすごくて、設計は世界のトップアーキテクトの一人、リチャード・ロジャース。

パリのポンピドゥセンターなど世界中で設計を行っています。今回の新国立競技場の審査委員も務めています。

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この日もたくさんのお客さんでにぎわっていました。

そして京都市役所。設計は武田伍一。

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他にも徒歩数分で歴史的建造物に巡り合える京都は、やっぱり憧れの町でした。

2015年08月31日

虎屋菓寮 京都一条店

先日、京都迎賓館について書きましたが、京都御所の近くに羊羹で有名な虎屋さんがあります。

その虎屋さんから少し離れたところに虎屋菓寮という、お茶と菓子を楽しめるお店があります。

そのお菓子はもちろんなのですが、建物がとてもいいんです。

設計はいま建築を学ぶ学生たちに一番人気があると言われる(某建築家談)、内藤廣さん。

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とても洗練された現代和風のデザイン。

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和風と言えばやはり軒ですね。なかなかの軒の出です。

軒先がきれいに納まっていると気持ちがいい!

この軒の垂木がそのまま屋内に繋がっていきます。

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天井がきれいな木ルーバーで覆われているため、基本照明の蛍光灯の存在感は消え、意匠照明のペンダントライトだけが浮かび上がります。

場所柄とこのご時世、店員さんがお二人欧米の方でした。もちろん日本語はペラペラです。

そして店内にはいるとガラス越しにテラス席と庭があります。

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夏の暑い日でしたが、この場所だといくらでもいられそうな気がします。

これからのシーズン、ますます心地よくなってきそうです。

雨の日は軒先から流れ落ちてきた滴が水盤に跳ねる、そんな風景も見てみたくなります。

立地も良く、この空間とあって金額は高めですが、ぜひお試しを!

2015年08月28日

さよならホテルオークラ東京

つい先日、東京へ出張しました。

2つの台風が発生していましたので、1週間ほど前からそわそわしていましたが、なんとかそれてくれました。

普通なら延期するのですが、今回は特別に行っておきたい理由がありました。

それは『ホテルオークラ東京』を最後に見ておきたかったためです。(泊まるわけではありません・・・)

このホテルは2015年8月末日をもって閉館、建替えが決まっています。

ホテルオークラ東京は1962年の開業。

建設時のテーマは『日本的建築美の創造』だったそうです。

建築家は谷口吉郎さん。ニューヨーク現代美術館(MOMA)の設計を行った谷口吉生さんのお父さんです。

日本建築の伝統美と現代建築の融合で評価の高い建築家でした。

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日本の紋様やなまこ壁をあしらいつつ、モダンな要素も感じられる外観。

そして有名な空間がこちら。

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天井から吊るされている照明は『オークラ・ランターン』と呼ばれるほど有名になったもの。

他にも日本の伝統的な障子や欄間の指物細工など見るべきものはたくさんあります。

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寄ってみると・・・

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もはやアート!

中2階からロビーを見るとあることに気づきます。

おわかりでしょうか・・・?

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そうです!テーブルと椅子の配置です!

テーブルと椅子を所定の位置に置いたとき、それは梅の花の形になるデザインになっています!

家具デザイナーの長大作さんのデザインです。

このロビーを含め、ホテルオークラ東京は世界中から高い評価を受けていて、以前から保存の要望を訴える運動が起きていました。

例えばファッションデザイナーのマーガレット・ハウエルさんやポール・スミスさん、ヴォッテガ・ベネタのクリエイティヴ・ディレクターのトーマス・マイヤーさんなどなど、ホテルオークラ東京を愛する人たちからたくさんの声があがっています。

が、建替えは決まってしまい、今月いっぱいで閉館。

『日本を瞬時に感じられる空間をもつホテル』が無くなることは大きな損失。

せめて多くの人にその空間を五感に焼き付けてほしいと思います。

今日を含め残り4日。急ぐべし!

2015年08月15日

京都迎賓館②

皆さんはお盆休み中でしょうか?

相変わらずの暑さですが、楽しんでくださいね!

私は今日は出勤で、先ほどご来店のお客様との打合せが終わったところです。

さて、今日は先日お伝えした『京都迎賓館』の続きです。

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『桐の間』の縁側です。

写真ではわかりませんが、障子の枠を3枚並べて横から見ると木目がきれいに揃います。

ほとんどの人が気付かないだろうところ(私はテレビの特集で予習してました)にも職人のこだわりが感じられます。

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中庭の池には小舟に乗って行けるそうです。

アフリカから来られた方がこの小舟に乗り、池巡りを楽しんでいる様子がテレビで流れていました。

京都迎賓館は『水』も一つのテーマとなっています。

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京都迎賓館開館10周年を記念して、初の一般公開となった『水明の間』。

『水明の間』という名のとおり水がテーマで、天井を見ると「船底天井」になっていますし、床をみると絨毯の模様が「青海波」。

「青海波」は「せいがいは」と読み、波のイメージをあしらった古くからの紋様です。よく手拭いで使われますね。

これまでご紹介した部屋は「歓迎する」、「もてなす」ことをテーマにしているのに対し、こちらは「話し合いをする場(会談する場)」としてつくられています。そういわれるとちょっと緊張感のある雰囲気がするから不思議です。

そして入口の玄関に戻って見学終了となりました。

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セキュリティの意味から、外観を撮れるのはここだけ。

皆さん記念写真を撮られるので、人波が途絶えることがありません。

毎年、結構な抽選倍率になるそうなのですが、来年も来てみたいですね。