「バランス」を大事にした住まい作りを

久和 幸司 (クワ コウジ)

1965年京都府生まれ。アルミサッシメーカー設計部、建築設計事務所を経て、1997年久和幸司建築設計事務所設立。趣味は釣り・草野球・犬の散歩。

作り手の思いを込めた建物、又「バランス」を大事にした住まい作りを目指したい。

ザウスで設計を手がけた施工例

設計例

「ある画家のアトリエ」
南に正対した2階建てのアトリエとギャラリーでもある玄関、「くの字」に折れ曲がる畳の間の配置。

一人の画家が、キャンバスの向こうに、そして自分に向き合い、一つの絵画を生み出し、鑑賞する場所。
そこは、静けさや、緊張感を纏った場所。
そこに、劇的な何かは必要ない。ここでしか生み出されない、特別な光や気配が存在する。このアトリエは、そんな場所であるべきだと思った。

和泉山脈を源として大阪湾へと流れる河川を見下ろす場所にある。
画家のアトリエ併用住居である。
元々この地にあった木立の中に建ったかのような、そんな佇まいになればいい。

木立の中、緩やかに登りながら蛇行する小径を、陽の光を浴び成長する緑に目を奪われては、立ち止まり、また進んで行くと、深い軒の先、格子戸越しに、画家の作品が飾られた壁が見えてくる。そこは、柔らかい色調の大谷石が敷き詰められ、地窓の先には竪格子の塀で囲われた庭へと視線が抜ける。

畳の間。そこで人は、腰を下ろす。先ほど歩きながら目にした緑を、ここでは、開口を抑えた室内から目にする。高木は幹のみしか見えない。芽吹く新芽、色付く葉、揺れる枝葉、見えない先を想像する。川の音に気付く。雨風で掻き消される程の音だが、雨の降った翌日の朝、そのことに気付かされる。

上流からの湿った風と朝の清々しい光を取り入れる開口、軒と格子が直射光を遮る東西のハイサイドライト、障子を立てこんだ南の吐き出し窓、それぞれの開口が、性質の異なる柔らかい光を制作の場に注ぐ。ここは、常に変わらない環境を与える場所ではない。壁で隔てた外の様子を感じ、筆を置く、そしてまた塗り重ねる。

確かに変化する日常の中に何かを捉え、表現する画家は、その変わるけれども変わらない、雲の動き、水音、緑の濃淡、一日の陽の移ろいを感じながら、またキャンバスに向き合う。

「桂坂の家」
外観

1階に大きく開放的なリビング、インナーバルコニー、明るく開放的なバスルームを必須条件に展開。敷地西南の角にある桜の木がリビングから見える様に配置し、大きく開放できる木製建具を組み込む事により、外部との一体感を持たせた。

「桂坂の家」
外部に対して大きく開放

「桂坂の家」
リビング

「桂坂の家」
和室コーナー

「桂坂の家」
インナーバルコニー

「桂坂の家」
浴室

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