これからの住宅ローン

ファイナンシャル雑記

5684dc6f8814dbce970acdc13d32ab9e3f3d5e6a.jpg

 

先日、いつもお世話になっている銀行の融資担当者さんから

「スタッフの皆さんにお話があるので、時間をいただけませんか?」

と、今までにない神妙な問い合わせがありました。

 

担当者さんの異動かな?くらいに思ってお話をお聞きしますと、

これまで紙とFAXと都度の電話連絡で行われていた

<住宅ローンの審査申込み> ~ <融資承認> ~ <融資決裁> までの手続きが

「AI」導入に伴い、オンラインデジタル化されるのだそう。

何だかとても今風な話題ですw

 

これまでは、お客様にご来店いただき署名捺印された申込み書類と

役所などで取得いただいた印鑑証明など必要書類を一式まとめ、

必要なものはコピーを取り、

蛍光ペンで見やすくチェックを入れたりなどの整理をした後に

銀行窓口に持ち込み、手続きを行っていました。

もちろんその後の銀行内での審査手続きの経緯については不明ですが、

その一連の手続きがネット上でお客さま自身によって行えるようになり、

身分証明書もスマホで写真を撮ってそのままアップロード!

審査手続きも数時間で完了、更には金利優遇の上乗せまである!!

との事。

 

いつまでもアナログな古いこの業界についに!!と一瞬は思いもしましたが、

これ、実は様々な問題を抱えている内容なんだなーとしみじみ考えてしまいました。

 

まず、この不動産業界の性格的に

「お客さまに申込み手続きをしていただき、その融資審査を待つ」

なんて悠長なことができるのか!?

 

昨今、土地や建物の売買契約は “融資の承認を得てから”

要は確証を得てから契約締結、というのがスタンダードになっています。

ちょっと前までは先に契約締結を行い、

“融資承認が得られなければ白紙解約” という特約条件でした。

ということで、不動産売買取引を少しでも早く確実なものにしたいと、

その為であれば早朝出勤前のご自宅へも、昼休み中のご勤務先へも、

ハンコをもらうためならたとえ火の中!水の中!(笑)的な

敏腕仲介業者さん達であれば、、、、

「お客さま!IDとPASSを教えてください!面倒なことは私が代わりにやっときますから!」

その衝動、抑えられますでしょうか?(笑。

 

とその前に、自分たちの損得だけを計算しているような仲介業者さんは

「AI」導入によって先に駆逐されているかも知れませんが。

「手数料の額」「両手?片手?」「オプションのボーナスは?」などなど

そんな目先の損得を考えるのではなく、

不動産の本当の価値を生み出すお客さまのニーズに応え、

本当の需要と埋もれている供給に目を向けられる仲介業者さんの将来は明るいのですが。

 

 

2つ目は、個人事業主の方々への融資審査への影響。

公務員や大手企業にお勤めの方、国家資格を持ち医療に携わる方などは

もれなくこのAI化・電子化の恩恵を受けられると思います。

 

反面、有能な技術や才能を持つあまり企業の枠を超えて活躍されるフリーランスの方や、

代々永続的に地域社会に貢献し続けている地元密着企業を経営されながらも、

設備の入替えや取引先の都合でたまたま単年度の決算報告書の見栄えが悪くなった経営者。

誰も思い付かなかったようなアイデアで起業された新進気鋭の経営者など、

確かにこれまでも大手都市銀行さんは高いハードルを掲げていましたが、

それでも窓口担当者のレポートや交渉次第では、

審査機関は保証会社と言ってもそこの担当者はやはり人の子。

その心に響かせる “何か” を発動させられる事はマレにありました。

マレにですが。

 

それがただただ数字を入力していくだけのフォーマットとなると、

もちろんこれまで煩雑で手の回らなかった分野へも目が届き、

一定の基準を設けその判断をAIに託すことによって

採算の取れないようなリスク案件への審査も明確にできるようになる利点も。

ただそれが決算報告書の中身やその背景、特別な事情をも見ることができなくなると、、、

せめて「備考欄」を作ってくれることを切に願います。

 

これは金融業界の二極化への流れを加速させるとも言われています。

現状でもそのカタチが見えていますが、一部の「A」顧客だけを対象とする大手都市銀行と、

その受け皿となる地銀・信用金庫。その更に受け皿が、、、。

実は更にその先の将来には、「審査ができるのであれば、貸し付けもやるか?」と、

銀行自体が駆逐されてしまう気配すら見え隠れします。

 

 

定められたルールと情報を入力すれば、人間の知能とは比べ物にならないスピードで

「正解」へたどり着くといわれる「AI」。

なんだか遠い話だなーなんて思っていましたが、意外とすぐそばまで来ているのですね。

もし「正解」の無い事案の場合、より「正解に近い」答えを導き出すのか?

それとも「不正解」として弾き出されてしまうのか?

その根拠は一般大多数から算出される「平均値」なのか?

 

それこそ我々人間には考えもつかないような未来があるのだと思いますが、

我々プロデュース会社も「人間にしかできない仕事」に立ち戻り、

誠心誠意、これからも精進していきたいと思います。

 

。。。あれ?住宅ローンの話ではなかったでしたっけ!?w

 

 

(原田)

サービスエリア:東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県 群馬県 大阪府 京都府(南部) 兵庫県(中南部) 奈良県 和歌山県 滋賀県(南部) 三重県(一部)